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電力会社(新電力)の倒産・撤退状況を解説!対応策は?

電力自由化ニュース

電力会社が倒産・撤退・一時新規申し込み受付停止した場合の対処法や過去のケースをご紹介。「新しい電力会社と契約する方法は?」「新電力が倒産したら、電気が停電したりしない?」といった疑問も解決できます。2021年3月24日に倒産・会社更生に入ったF-Power(エフパワー)、2021年9月30日に民事再生を申請したアンフィニについても解説。

この記事の目次

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2016年4月から電力自由化がスタートし、さまざまな電力会社のなかから自分に合ったプランを選べるようになりました。

毎月の電気料金が安くなる、環境に優しい電気が使える、都市ガスとセットで契約ができるなど、電力会社を切り替えるメリットはたくさんあります。しかしながら、業績悪化や事業縮小などが原因で、倒産したり電力業界から事業を撤退する電力会社が過去にも複数ありました。

万が一、自分の契約している電力会社が倒産・撤退した場合、どうするべきなのでしょうか。

この記事では、実際に電力会社が倒産・撤退したケースを紹介しつつ、電気は止まる?新しい電力会社と契約するには?など、さまざまな疑問にも回答します。

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更新日
2024年2月6日

電力会社が倒産・撤退!実際にあったケースを紹介します

まずは、実際に倒産・撤退した電力会社について、ケース別に見ていきましょう。

スマートテック・水戸電力が民事再生法の適用を申請

2024年2月2日、スマートテックと、関連子会社の水戸電力が、民事再生法の適用を申請。

スマートテックの太陽光発電システムや蓄電池などの販売が振るっていなかったことに加え、高圧電力サービスの調達コストが高騰したのが主な原因です。関連子会社の水戸電力は、その影響を受けてしまいました。

民事再生法は、事業を継続するための倒産手続きを定めたものです。2024年2月5日現在の一部報道によると、スポンサー企業の候補が複数社出ており、事業自体は継続される方向で進められています。

自然電力が電力小売事業から撤退

2022年10月4日、自然電力が電力サービス「自然電力のでんき」の終了を発表しました。同社は2017年に電力小売事業を立ち上げました。しかし電力卸売市場の高騰、エネルギー市場の混乱を受け、サービス終了を決定したとのことです。

2022年11月30日をもって電力供給を終了する予定となっています。

FPSが低圧事業から撤退

FPSは、新電力のF-Powerから電力小売り事業を譲受し、2022年4月1日からサービスを開始していました。しかし同年9月20日、契約者向けに低圧事業撤退を公表。

FPSは低圧事業撤退の原因を、発電に必要な燃料の不足などによる電力価格高騰としています。低圧事業のサービスである「ピタでん」の契約は同年12月20日以降の最初の検針日に解約するとしています。FPSが電力供給を行っている「はなカメくん電気」(株式会社亀井組)も低圧事業の撤退を発表しています。「はなカメくん電気」も2022年12月20日以降の最初の検針日に解約となります。

ナンワエナジーが電力小売事業から撤退

2022年5月9日、ナンワエナジーが電力小売事業から同年6月30日に撤退することを発表。原因は、燃料の不足や国際情勢の悪化などによる電力市場価格の高騰としています。ナンワエナジーと契約中の方は、2022年6月10日までに他の電力会社へ切り替え、6月17日までに電力の供給開始待ちの状態にする必要があると案内をしています。

ISエナジーが破産

2022年4月末、ISエナジーが大阪地方裁判所に破産手続きの開始を申し立てました。同社は「ISでんき」や「ブロードでんき」などの電力小売に加え、「ISガス」というブランドで都市ガスの事業も展開。電力調達価格の高騰により採算が合わなくなり、事業継続が困難になったようです。

2022年に入り資金繰りが悪化し、取引先などへの支払いが遅延する状況にあった同社。4月28日時点では電力小売からの撤退を発表していました。

なお、「ISガス」については関連会社の株式会社インソムニアに移管して継続するとのことです。

TRENDEがあしたでんきの供給を終了

2022年4月27日、TRENDE株式会社が「あしたでんき」のサービス停止を発表。原因は、天然ガス・石炭・石油など電気をつくるための資源の価格が高騰していること、その状況が好転する見通しがないこととしています。

供給停止日は6月30日までで、それ以降は無契約の状態となります。現在契約している方はお早めに電力会社を切り替えることをおすすめします(TRENDE株式会社は供給終了の1カ月前である2022年5月26日がスイッチング申込期限の目途と発表しています)。

Natureが電力小売事業から撤退

2022年4月11日、Natureスマート電気を提供するNature株式会社が電力小売事業からの撤退を発表しました。発表によると、電力調達価格の高騰や今後の電力調達の先行きが不透明になったことにより、事業の採算を合わせるのが困難になったことが撤退の主な要因です。

現在契約している方は、2022年5月11日まで(手続きの完了は5月20日まで)に電力会社を切り替える必要があります。

アンビット・エナジーが日本のエネルギー市場から撤退

2022年4月6日、アンビット・エナジー・ジャパンが日本での電力小売事業からの撤退を発表。アンビット・エナジー社は、アメリカやカナダを中心に事業を営むエネルギー小売事業者で、電力自由化以降に日本でもサービスを提供していました。日本からの撤退の主な原因は、天然ガスの供給不足による電力価格の高騰などとされています。

エルピオが電力小売事業を停止

2022年3月25日、エルピオが電力小売事業「エルピオでんき」の停止を発表。

2020年12月以降の電力卸売市場の価格高騰、2022年3月から始まった欧州情勢の混乱と、原油先物価格の暴騰に落ち着く見通しがつかないことなどが事業停止の理由とされています。

ウエスト電力が電力小売事業を廃止

2022年3月25日、ウエストホールディングスが、グループ会社のウエスト電力における電力小売事業の廃止を発表。昨今の電力ひっ迫や市場価格高騰に加え、3月以降のウクライナ情勢の影響によるさらなる市況悪化により、電力供給が不安定な状況になったことが主な原因のようです。

今後は、グループとしてグリーン電力事業に注力していくとのことです。

熊本電力が事業を停止

2022年3月22日、熊本電力株式会社(所在地:熊本県熊本市)が電力の小売事業を停止しました。エネルギー価格の高騰に伴い、電力卸売市場などからの電力調達コストが難しくなったことが停止の原因とのことです。なお、熊本電力については、同月21日に一般送配電事業者との送電の契約が解除された旨が契約者に伝わっていました。

この停止を受けて、契約者は4月21日までに電力会社を切り替えなければ、無契約の状態になります。

ホープエナジーが破産

2022年3月22日、ホープエナジーが破産申し立てを決議したと発表。ホープエナジーは2020年10月に設立、2021年12月に親会社のホープから電力小売事業を承継していました。

2020年12月から2021年1月の期間に起きた電力市場価格高騰の影響で高額なインバランス料金※が生じ、赤字を計上したことなどが原因とされています。

※電気は供給量と需要量を合わせて供給する必要があり、差分が生じた場合は一般送配電事業者が調整します。その調整のペナルティとして電力会社が一般送配電事業者に支払うのがインバランス料金です。

ハルエネが高圧・特別高圧の電気供給サービス事業から撤退

2021年11月25日、ハルエネが高圧・特別高圧の電気供給サービス事業からの撤退とともに、契約者への他社切り替え要請を発表。日本卸電力取引所での卸売価格高騰などが原因と言われています。

法人向け新電力比較サービス「エネチェンジBiz」では、厳選された約30社の新電力のなかから、複数の見積もりを一括で取得できます。サービス利用は無料なので、お気軽にご相談ください。

アンフィニが民事再生法の適用を申請

2021年9月30日、アンフィニが民事再生法の適用を申請。アンフィニは、電力サービス「Japan電力」での電力小売事業、太陽光発電販売事業なども展開している会社です。太陽光パネルの売り上げの落ち込みや、2020年12月から2021年1月の期間に起きた電力市場価格高騰の影響などが原因と言われています。

民事再生法は、事業を継続するための倒産手続きを定めたものです。契約者への電力供給は継続されます。

ファミリーエナジーが破産

ファミリーエナジーは、2021年8月4日に破産手続きを開始。2020年12月からつづいた電力市場価格高騰で電源調達費用が上がったことなどが原因とされています。

JBRが電力小売事業から撤退

2021年9月末(予定)、鍵や水まわりなど生活トラブル解決サービスのジャパンベストレスキューシステム(JBR)が電力小売事業から撤退します。JBRは、2019年9月から電力サービス・JBEPSをスタート。JBRと提携している不動産管理会社経由で、賃貸物件の入居者向けに電気を販売していました。

公式のリリースでは、2020年12月から2021年1月の期間に起きた電力市場価格高騰の影響とともに、高騰再発リスクを鑑みて撤退が決定したと説明されています。

ピタでんを運営するF-Power(エフパワー)が会社更生に

ピタでんの運営・はなカメくん電気(亀井組運営)の供給を行うF-Power(エフパワー)は、2020年12月からつづいた電力市場価格高騰の影響で業績悪化となり、会社更生法の適用を東京地方裁判所に申請、2021年3月24日に受理されたと公式HP上で発表しました。会社更生法の手続きは破産手続きと異なり、再建を測るために事業を継続するための手続きです。

2021年10月15日、F-Powerは日本GLPをスポンサーに選定し、スポンサー契約締結したことを発表。F-Powerから電力小売事業を取得し、事業譲受は2022年4月1日を予定しています。

また、現在ピタでん(法人の方はF-Power)を契約中でお悩みの方は、国内最大級の電気・ガス比較サイト「エネチェンジ」までご連絡ください。もちろん、費用は一切かかりません。個人はもちろん、法人でF-Power(エフパワー)と契約している方も専用窓口を用意しています。お気軽にご利用ください。

AGエナジーが小売電気事業を終了

AGエナジーを提供しているAG Energy株式会社が、2020年3月23日に小売電気事業終了のお知らせを発表しました。供給エリアは、沖縄を除く全国。諸般の事情から事業の継続が難しくなったことが原因としています。

お知らせには、「皆様と当社との契約は、お住まいの地域によって異なりますが3月31日までに終了し、その後無契約の状態が続きますと、電気の供給が止まることになります」という記載もあり、できるだけ早い切り替え手続きを促しました。供給停止日については4月下旬とし、一般送配電事業者(※)からも通知が送付され、改めて切り替え手続きについて案内されました。

旧一般電気事業者やそのグループ会社。北海道エリアの場合は北海道電力、東北エリアの場合は東北電力、関東エリアの場合は東京電力パワーグリッド、北陸電力エリアの場合は北陸電力、中部エリアの場合は中部電力パワーグリッド、関西エリアの場合は関西電力、中国エリアの場合は中国電力、四国エリアの場合は四国電力、九州エリアの場合は九州電力、となります。

AKUBIでんきおよびgreen energyが破産、電気契約の廃止

2020年2月下旬、AKUBIでんきを提供するあくびコミュニケーションズ株式会社が破産手続きを開始しました。また、株式会社カステラの提供しているgreen energyの供給もあくびコミュニケーションズ株式会社が行っており、こちらも同時期に破産手続きが決定しています。

AKUBIでんき利用者の契約は2020年3月5日付けで廃止と発表されましたが、破産手続きの開始に伴い、早ければ3月末までには電気の供給の停止が見込まれました。

契約者には郵送にて順次通知され、できるだけ早く新しい電力会社と契約するよう呼びかけました。

AKUBIでんきの供給エリアは沖縄を除く全国です。特定商取引方に違反するとして、2019年4月25日付けで消費者庁から6カ月間の一部業務停止命令を受けています。主に電話勧誘を行い、実際は旧電気一般事業者(※)と比較して300KWhを超える分しか安くならないにも関わらず「毎月5%安くなりますよ」と詳しい説明をせずに契約をする、旧電気一般事業者の関係者を名乗って関連会社と思わせるなどの行為が問題視されていました。

※旧一般電気事業者とは…北海道電力・東北電力・東京電力・中部電力・北陸電力・関西電力・四国電力・中国電力・九州電力・沖縄電力をいいます。

福島電力が電力事業からの撤退、破産

2016年から電力小売事業を行う福島電力は、2018年5月下旬に電気料金請求の遅延や問い合わせ電話の不通などの不備やビジネスモデルの変更を理由として事業撤退、8月上旬には破産手続きを開始しました。

福島電力は、沖縄を除く全国で事業を展開し、顧客数は約8万人。賃貸不動産業者と提携し、契約者に対して入居と同時の電気契約を獲得してきましたが、同意のないまま契約が結ばれていた、プランや書類についての詳しい説明がなかったなどの行為が問題視されていました。また、契約してからも、請求書がひと月に2回送られてくる、コールセンターに電話がつながらない、そもそも請求書が来ないのでいくら支払えばいいのかわからないなどの不満・不安も多く見られました。

福島電力の契約者には、2018年6月下旬頃から「電力会社の切り替えに関するお知らせ」が順次送付されました。通知に書かれた契約解除日は6月末までの場合が多く、2週間にも満たない期間のなかで新しい電力会社に切り替える必要がありました。

大東エナジーのいい部屋電気が電力事業からの事実上撤退

大東建託の賃貸住宅にお住まいの方のみ申し込みができた大東エナジーのいい部屋でんきが、2017年4月に新規申し込みの一時停止、8月には新規受付の全面停止を発表、11月には電力市場の価格高騰とシステム改修の困難を理由とし、電力事業からの事実上撤退を決めました。

他の電力会社に切り替えなければならない世帯は、沖縄を除く全国9エリアで約26万世帯。電力会社の切り替えを促す案内通知が11月末頃から順次送付されましたが、期限が約1カ月後とかなり短い期間のなかで新しい電力会社を探し、手続きを行わなければなりませんでした。

契約している電力会社が倒産・撤退!今、使っている電気はどうなる?

万が一、契約している電力会社が倒産・撤退を発表した場合、どうなってしまうのでしょうか?

よくある疑問や不安を紹介しましょう。

電力会社が倒産・撤退したら、電気は使えなくなるの?

電力会社が倒産・撤退した場合、契約が廃止されます。契約の廃止後もただちに電気が使えなくならないよう電力会社が調整を行います。事前の連絡がなく電気が使えなくなることはありません。

ただし廃止後の無契約状態が続くと電気は使えなくなるので、電力会社から契約廃止の連絡が届いた際は、なるべく早く新しい電力会社に切り替えましょう。

電力会社が倒産・撤退したら、新しい電力会社への切り替えに必要なものは何?

一般的に電力会社を切り替える際に必要な情報は、次の通りです。

  • 現在契約している電力会社名や契約者名義などの基本情報
  • 供給地点特定番号
  • お客様番号

新しい電力会社に切り替えるために必要な情報は、毎月送られてくる検針票やマイページから確認ができます。また、倒産・撤退を知らせる案内にも記載されている可能性が高いです。

電力会社が倒産・撤退したら、私たちは何をすればいい?

電力会社が倒産・撤退した場合は、なるべく早く新しい電力会社を探して契約することが大切です。

契約している電力会社が倒産・撤退した場合の流れ
  1. 契約中の電力会社から、契約廃止に関する通知が届く
  2. 新電力または、旧一般電気事業者どちらと契約するか決める旧一般電気事業者とは北海道電力・東北電力・東京電力・中部電力・北陸電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力を指します。
  3. 新しい電力会社と契約する

経済産業省資源エネルギー庁の「電力の小売営業に関する指針」によると、解除予告通知は15日程度前までに行うこと、とされています。あくまでも目安のため、通知が届くのは電力会社によって異なります。電力会社から通知等が届いた際は、早めに内容を確認してください。

出典:電力の小売営業に関する指針|経済産業省資源エネルギー庁

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新規申込みの受付を一時停止している電力会社も

昨今の資源価格高騰などの影響により電力調達が困難になり、新規申込みの受付を停止する電力会社も増えています。以下、2022年3月現在、申込み受付を停止している事業者の一覧です。あくまで一時新規申し込み受付停止であり、撤退・倒産ではありません。

サニックス (サニックスでんき)
2021年12月9日から
電力需要の高まりによる市場状況の変化の影響で一時停止
スマートテック (そらエネでんき)
2022年2月頃から
申込多数のため一時停止
楽天エナジー (楽天でんき)
2022年3月4日から
電力調達の先行きが不透明になっているため一時停止
シン・エナジー
2022年3月17日から
安定的な電力調達が難しくなっているため一時停止
MCリテールエナジー (まちエネ)
2022年3月17日から
安定した電力の調達が難しい状況となっているため一時停止
京葉瓦斯 (京葉ガスのでんき)
2022年3月18日から
電力調達の先行きが不透明になっているため一時停止
サステナブルエナジー
2022年3月23日から
急激なお申込増加のため一時停止
横浜環境デザイン (ヨコハマのでんき)
2022年4月1日から
安定した価格での電力調達が難しい状況にあるため一時停止

2022年3月現在の情報を掲載しています。

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電力会社の倒産・撤退しても、電気が止まることはありません。知識をもって対応しよう

電力会社が倒産・撤退したケースを紹介し、万が一の対処方法をご紹介しました。

契約している電力会社の倒産・撤退について、以下の2点に注意しておきましょう。

  • 契約している電力会社が倒産しても、電気は届きます
  • 次の電力会社との契約手続きも行う必要があります

電力会社が倒産しても電気は届くので、まずは安心できそうです。しかし、次の電力会社を探して、再契約するまでの手続きを迅速に行わなければなりません。万が一の場合に備えて、電力会社・プランの契約についての正しい知識を身に着けておきましょう。

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